2 高校生活の過ごしかた

 

勉強と課外活動の両立

大学進学を控えているアメリカの高校生は、どのような高校生活を送るのでしょう――。

 

「アメリカの大学にとって魅力ある人間になること」をめざして高校生活を過ごすわけですが、とくに何に力を入れるべきなのか、上に掲げた六つの要素のバランスをいかにとればいいのか、アメリカの高校生でも悩むところです。

 

高校生活を通して最も大切なのは、高校の勉強をしっかりすることです。

 

アメリカの大学は、何よりも高校の成績を重視します。

 

毎日の予習・復習だけでなく、授業で発言したりディスカッションに参加したりというのも大切。

 

中間・期末テストでいい点数をとることも大事ですが、日ごろの授業態度や積極性も同じように重要です。

 

とくに学習意欲や日ごろの態度は、先生からの推薦状を通じて大学に伝わります。

 

アメリカの高校では、個々の生徒の学力によってとる科目のレベルが異なります。

 

できるだけハイレベルの科目をとるほうが高い学力を大学にアピールできるので、名門大学をめざしているアメリカの高校生は、 9年生(日本の中3)からしっかり勉強し、科目をレベルアップさせていきます。

 

そしてクラブやボランティアといった課外活動も、とても重要です。

 

いろいろな活動をちょっとずつするよりも、一つか二つに絞ってそれを長く続けるほうが、アメリカの大学は高く評価します。

 

責任感や根気がうかがえるからです。

 

自分の好きなこと、得意なことで、存分に力を発揮します。

 

数より内容が大切。

 

高校の勉強と課外活動とは、いわば車の両輪です。

 

それぞれに力を入れて、充実した高校生活を送ることが、アメリカの大学への進学準備においてとても有効になるのです。

 

これはアメリカの大学をめざす日本の高校生にとっても同じことです。

 

たしかに学業を優先させなければなりませんが、それ以外のこと――部活、委員会活動、ボランティア、趣味など――でも、自分の魅力をアピールできるのであれば、積極的にチャレンジしたいものです。

 

ただいろいろなことに手を出しすぎると、かえってとらえどころのない、あやふやな人物になってしまいます。

 

大切なのは、「あなたらしく」高校生活を送ること。

 

アメリカの高校生は、ガイダンスカウンセラーからつねに「あなた自身であれ (Be Yourself) 」とアドバイスされます。

 

そのためにも先に述べたように「自分とは何か?」「自分の強みとは何か?」をよく考え、あなたらしさが存分に発揮される高校生活を送ってください。

 

ムリしてガリ勉したりスポーツに精を出すのではなく、自然体でいるよう心がけましょう。

 

たとえば英語が苦手なことをムリして克服しようとすると、かえって英語コンプレックスになってしまいます。

 

それよりも、あなたのよいところを伸ばすほうに力を注いだほうが、あなたの魅力がより大きく現れるはずです。

 

大学進学者に欠かせないカウンセラー

アメリカの高校生は、本格的な進学準備はJunior( 11年生。日本の高2にあたる)の10月、 PSAT (→p.127)を受験するころから始めます(10年生でPSATを 受ける人もいますが、 PSATは11年生を対象としたテストです)。

 

それからの2年間、学業と課外活動につとめ励みながら、「自分らしさ」を確立させ、志望校を絞り込み、出願します。

 

適切な進学準備を進めるためには、やはり何らかの指導が欠かせません。

 

進学プロセスにおいて頼れる存在――それがガイダンスカウンセラーです。

 

アメリカの高校生は、定期的にカウンセラーと会い、自分にとってふさわしい進路を探っていくのです。


カウンセラーは、たとえば以下のような相談を受け、指導をします。

  • 進学準備スケジュールの組みかた。何を、いつまでにしなければならないか
  • どんな科目をとったらいいのか
  • 成績を上げるにはどうすればいいのか。効果的な勉強方法とは
  • 「自分らしさ」とは何か。自分のどんな点を大学にアピールすればいいのか
  • 高校卒業後の進路について親と意見が異なる。どうすればよいのか
  • 推薦状はどの先生に、どんなことについて書いていただくべきか
  • どんな課外活動に参加し、そこでどのような役割を果たすべきか
  • 学業と課外活動をいかに両立させていくか
  • エッセイのトピック。何について、どのように書いたらいいのか
  • 志望校選び。学力・性格などを踏まえて、どの大学が適しているか
  • 合格の可能性を高めるためにはどうすればよいのか etc…

このように進学プロセス全般にわたって、ガイダンスカウンセラーがその生徒にふさわしい進路を導いていきます。

 

生徒たちはカウンセラーと二人三脚で準備を進めることで、方向性を見失わずに、またスケジュールから遅れることなく、無理なく自分にとって適した進路を歩んでゆけるのです。

 

日本の高枝生にも不可欠なカウンセリング

アメリカの高校生にとって、まったくの独力で大学進学のための準備をするのはとても大変です(コミュニティ・カレッジなどだれでも入れる大学に行くのであれば別ですが)。

 

まして日本の高校生がアメリカの大学をめざすのに、きちんとした進路指導を抜きにしては考えられません。

 

いまのところ日本では、アメリカの高校のガイダンスカウンセラーのように、アメリカの大学に向けた進路指導のシステムを整えている高校や留学機関は、残念ながらほとんどありません。

 

大学進学にカウンセリングが不可欠なのは、アメリカも日本も同じです。

 

アメリカの大学への進学を考えている人は、できるだけ早い段階で、親子そろってのカウンセリングを受けることをおすすめします。

 

次に、アメリカの大学が合否を決める際に重視する六項目――TheSignificant Six――それぞれについて、書類を図示しながら解説していきましょう。

 

アメリカの大学に合格するために大切な六つの要素
― THE SIGNFICANT SIX ―


1.高校の成績
2.エッセイ
3.推薦状
4.課外活動
5.テスト (SAT、ACT、TOEFL)スコア
6.面接