カリフォルニア州に見る大学のありかた

 

カリフォルニアはアメリカの中でも、アジア系と中南米系の移民がとても多い州です。

 

アメリカは移民を大量に受け入れることで、治安や貧困の問題を抱えていますが、同時に国のエネルギーにもなっているわけです。

 

移民たちは何とかよい生活をし、アメリカンドリームを達成したいと考えているのですから、とてもよく働きエネルギッシュで、そのハングリー精神から、子どもたちに対してはとても教育熱心です。

 

とくにアジアからの移民はその姿勢が際立つています。

 

UCLAやUC Berkeleyに子どもが入学して一番喜ぶのは、こういう一世の親たちです。

 

アメリカに渡ってきて苦労をして何とか暮らしがたつようになって、子どもがUCLAに入学したというのは、本当にこの上もない喜びであり誇りです。

 

両校ともカリフォルニアではトップの州立大学です。

 

中小企業のオーナーの子弟で、優秀な学生が来るので有名なのはUniversity of Southern Californiaです。

 

ロサンゼルスにある名門の私立総合大学です。

 

また、Stanford Universityはカリフォルニア一の名門私立大学です。


親が教育レベルの高い人たちが多いのです。

 

同じく親が教育レベルが高くて本人も優秀で、かつ大規模大学ではなく、リベラルアーツ・カレッジに行きたいと考える人が行くのがPomona Collegeを中心とする五大学(他はClaremont McKenna College、Harvey Mudd College、Pitzer College、Scripps College)です。

 

一つひとつは1,000人前後の小規模大ですが、五つの大学のどの授業を受けてもいいことになっています。

 

とくにPomonaは、ハーバードに匹敵する名門校です。

 

ここで、カリフォルニアの大学の人種構成などについて見てみたいと思います(学生数は大学生のみで、大学院生は含みません)。


ここでいうアジア系とは、おもに中園、韓国、ベトナム、フィリピンなどから一世代または二世代前にアメリカに渡ってきた人たちです。

 

ヒスパニックは、メキシコを中心にジャマイカ、コロンビア、ベネズエラ、キューバ、ペルーなど、中南米の人たちです。

 

じつは、この人たちの人口がついに黒人人口を抜きさってしまいました。

 

一般に白人に対して、黒人、ヒスパニック、アジア系などは「マイノリティ・グループ」といわれています。


この中でもアジア系の人たちが教育には一番熱心です。

 

UCLAやUC Berkeleyは、アジア系の人の数がずば抜けています。

 

両校ともカリフォルニアで州立としては最もむずかしくレベルの高い大学です。

 

また、州外からの学生の割合を見てください。

 

UC Berkeleyなどはたったの8%です。

 

カリフォルニア州の州立大学群は、カリフォルニア州民を第一優先にする度合いが、他州の州立大学に比べてとても高いので有名です。

 

また、Retentionといって、アメリカでは、「大学1年生がどのくらいの割合で2年生として大学に戻ってくるか」を、大学の質の一つの大きなバロメーターにしています。

 

つまりRetentionが高いのは質もよく、学生にも人気があり、きちんと大学を卒業しようという志の高い学生たちが集まっている大学というわけです。

 

Stanfordは98%です。

 

ヒスパニック系のメッカ、California State University Los Angelesは74%で決して悪くありません。


学生数について、Full-timeとPart-timeというのがあります。

 

Full-timeは、学生として100%大学に来ている人たちです(日本では当たり前です)。

 

Part-timeは、働きながら大学に来る人たちです。

 

苦学生という印象を受けますが、奨学金制度の発達しているアメリカでは、苦学生は奨学金を得てFull-timeとして大学や大学院に学び、よい成績をとりよりたくさんの奨学金を獲得して、よい仕事に就いていきます。

 

Part-timeの学生はたくさんの奨学金をもらうことはできず、かといっていまの仕事のままではとても楽な生活ができないので、少しスキルを上げて、ちょっとでもよい職に就きたいという人たちです。

 

高卒のままでは、本当に単純労働にしか就けないのは、繰り返し述べた通りです。

 

コミュニティ・カレッジの典型であるLos Angeles Harbor Collegeは、 Full-timeの学生よりPart-timeの学生のほうがずっと多く、また、 Retention はとても低いので統計も出ていません。

 

アメリカでは日本のような偏差値がないので、このように、人種の構成やRetention、Full-timeとPart-timeの学生数の割合などが、大学選びに大きな影響を及ぼします。

 

もちろん州立か私立か、という選択も重要です。

 

カリフォルニアの人たちは、こうしたことを肌で感じているわけです。

 

大学 University of California, Los Angeles (UCLA) 1919年創立 州立総合大学 University of California, Berkeley 1868年創立 州立総合大学 University of Southern California 1880年創立 私立総合大学
学生数 26,536人 25,151人 16,608人
Full-timeの割合 97% 97% 96%
Part-timeの割合 3% 3% 4%
Retention 97% 97% 97%
学生構成 黒人 4% 3% 7%
アジア系 40% 42% 26%
ヒスパニック 17% 11% 12%
ネイティブアメリカン 1% 1%未満 1%
留学生 3% 8% 11%
州外からの学生 10% 8% 41%
学費 州内出身者 約11,000 ドル 約12,500 ドル 約41,500 ドル
州外出身者 約34,000 ドル 約35,500 ドル
寮・食費 約14,000 ドル 約15,500 ドル 約11,500 ドル

 

大学 Stanford University 1891年創立 私立総合大学 Pomana College 1887年リベラルアーツ・カレッジ California State University - Los Angeles 1947年創立 州立大学 Los Angeles Harbor College 1949年創立 コミュニティ・カレッジ
学生数 6,532 人 1,532 人 15,867 人 10,083 人
Full-timeの割合 100% 99% 75% 28%
Part-timeの割合 0% 1% 25% 72%
Retention 98% 97% 74%
学生構成 黒人 11% 10% 7% 18%
アジア系 23% 13% 16% 17%
ヒスパニック 15% 12% 66% 43%
ネイティブアメリカン 3% 1%未満 1%未満 1%未満
留学生 8% 4% 3%
州外からの学生 57% 70% 3%
学費 州内出身者 約39,000 ドル 約38,500 ドル 約5,000 ドル 約800 ドル
州外出身者 約16,000 ドル 約6,500 ドル
寮・食費 約12,000 ドル 約13,000 ドル 約13,500 ドル 寮はなし